「イバラード」って、何?

その1、僕が、IBLARD CHRONICLEを書こうと思った理由

「イバラード」1980年作
「イバラード」1980年作
© Inoue Naohisa

このページの内容
知りたい知りたい、もっとイバラードのこと! でも?
Do it Yourself ?
イバラード補完計画
正史と私本
どんな話を書けば良いのか?

 

知りたい知りたい、もっとイバラードのこと! でも?

 イバラードの数々の絵画作品には、「コミック・イバラード物語」(右図:青心社刊)「イバラード消息」に表現された、もう一つの興味深い背景があります。
 そこには未だに良く正体の見えない、壮大な「イバラードサーガ」が隠されています。
 僕たちは井上先生の数々の作品に触れるたびに、知らず知らず、こうした「作品の背後に潜む、広大な物語の世界」を重ねて見ています。

 さて、イバラードの情報は主に、絵本やコミックの他、ほとんどが井上先生が次々に新しく創作される絵画によって僕たちに伝えられます。
 しかし、これだけ沢山のイバラードの光景を目にしても、これらほとんどの作品が、「イバラードがどんな構造を持った世界で、どのような歴史を経てきた社会であるのか」を、完全に解き明かしてはいません。
 こうした背後に潜む秘密を知ろうと思うなら結局、井上先生から「続・イバラード物語」等の著作が出てくるのを待つしか無さそうです。
 それまで僕等は、ひたすらじっと待ち続けねばならないのでしょうか?
 これでは「イバラードの事を、もっともっと詳しく知りたい!」と熱望するイバラーダーにとって、少しフラストレーションが溜まりますね。
 僕はイバラードに触れる度、いつもこうしたもどかしさを感じるのです。
 そしてこのことが、このHPを造ることになった僕なりの動機となりました。

 

 

Do it yourself?

 僕は、この点でちょっと視点を変えてみることにしました。
 「イバラードがどんな世界なのか、そんなに知りたいなら、じゃあ自分で考えれば。」と思ったのです。
 僕がそう思った訳は、次の理由からです。
 「イバラードがどんな世界であるか?」を想像することは、イバラーダーにとって最高のエンターテインメントだとは思いませんか?
 言うなれば、イバラードとは絵画という領域を越えた、鑑賞する人も参加出来る、「イメージのアミュ−ズメントパーク」では無いかと・・・。

 そこでもし、「イバラードの世界観を構築するチャンスが、僕たちにもある」としたらどうでしょう?

 つまり井上先生からは、「イバラードと言う世界の基本的な概念」と、「日々アップデートされる、膨大なビジュアル情報」が提供されます。
 そして、「そこから先、その世界像を完璧な姿にするのは、貴方です。」と、おっしゃりたいのではないのかと。

 これはなんとも、凄いことです!
 源泉となるクリエイター側に、強固で明確なビジョンと同時に鷹揚な寛大さが兼ね備わっていなければ、絶対になしえないことです。
 そこには自ら創り出した世界の広大さを認め、その世界に他人が住み着くことを一向にいとわない、先生らしい潔さが感じらるのです。

 でも! こんなことを思っているのは、僕だけなんでしょうか?
 もしそうなら、オイラは「イバラードに居候させてくれ〜!」と自分勝手に言ってる、単なる迷惑な奴なんですけど。 (^^;; ア〜! ソウダッタラ、ドウシヨウ!

 

 

イバラード補完計画(笑)

 さて、改めてコミック「イバラード物語」を見直して、いっそう実感する事があります。
 それは本当に「イバラードと言うワンダーランドは、宝石のような素材(アイデア)の宝庫」だと言うことです。
 コミック「イバラード物語」には、あらゆる物語や世界を構築するための素晴らしい素材(アイデア)が、ほとんど手つかずのまま、ごろごろと転がっています。これらの素材はどの様に組み立てても、楽しい物語が生まれて来そうに思えます。
 この様に誰も手を付けようとしない美しいパーツが転がっている部屋を見つけたら、レゴを組み立ててて遊ぶ様に、あなたもこれで何か作ってみたいとは思いませんか?

 こうした、「自分なりのイバラードの世界」を組み立てる楽しみ方を、僕は「イバラード補完計画」と呼んでいます。例えが古すぎ? (^^;; ヒヤアセ

 

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正史と私本

 以前「コダツノ大学」のHPで、井上先生が「ニーニャって、どんな人だと思いますか?」と問いかけた事がありました。それにたいして僕は、「ニーニャについて」を投稿しました。この時いろいろイメージを膨らませて、すごく楽しかった記憶があります。
 また最近では「ヴァジリキは、電気クラゲの夢を見るか」というタイトルで、ヴァジリキ(イバラードでは「人魚姫」とも)について書きました。

その記事に興味のある方は、こちらへどうぞ。
→ リンク:「IBLARD CHRONICLE 、Research編」
上記、indexページの、「ニーニャについて1〜4」および、「バジリキは電気クラゲの夢を見るか」をご覧下さい。

 さて、それが何と!
 いずれの書き込みに対しても、井上先生からコメントをいただいたのです。
 その内容がまた、とても興味深いものでした。 (^-^)

 それから以前、ミルるんさんの「イバラード大辞典」で行われた人気投票で、タキオとキャラ、それにセルパについてもあれこれと書きました。「イバラード大辞典」で行われた人気投票は、とても楽しい企画でした。ここに寄せられたコメントは、それぞれイバラードへの深い愛情が感じられます。

→ リンク:「IBLARD DICTIONARY(イバラード大辞典)」

 この時改めて思ったのは、イバラードの歴史を僕なりに考えてみても面白いかも知れないということでした。
 展示会で見た絵、コミックや絵本などの著書で読んだ話、井上先生から直接聞いたお話、そう言ったいくつかの情報の点と点を結んで、イバラードの世界、イバラードの歴史というものが、僕なりに考えられるかも知れないと思ったのです

 しかし、これはずいぶんと無謀な試みだと思います。
 まず、こうして作り上げたものが人様の鑑賞に堪える物になるのか?
 いやその前に、果たしてそれが上手くつじつまの合う物になるか?
 ・・・正直申し上げて、全く自信はありません。(^_^;)\('_') オイオイ
 しかしこうした記述の断片が繋がってゆくと、その先に「イバラード・サーガ」の姿が見えてくるのではないか、と言う期待を込めています。(^^;)ズイブン大キク出タネ!

 まあそこまでは無理としても、こういった話の断片から、僕なりにイバラードの歴史の姿が見えれば、と言うことで年代記、歴史書を意味する、「IBLARD CHRONICLE(イバラード・クロニクル)」と名付けました。
 僕としては、なるべく井上先生の思い描いていらっしゃるイバラードの姿に近づけるつもりです。しかし同時に、自分のイバラードを描いてみたいというジレンマもあります。

 と言うことで、僕がここで書くイバラードの姿はおそらく、井上先生のお考えになっておられるイバラードとはやや違った姿になってゆくと思われます。
 そこで、井上先生がお書きになった「イバラード物語(正史)」に対して、僕が勝手に考えたイバラード物語という意味合いから、「(私本)年代記」と割り切る事にしました。

 我ながら恐れを知らない試みだとは思いますが、さてどこまで出来るのやら・・・。
 ともかく、続けられるだけ続けようと思っています。

 

 

どんな話を、書けば良いのか・・・? (ーー;)ウーム

 で、結局、最初の話に戻ってしまう訳です。(笑)
 先ほど僕はこれまでのイバラード作品が、「イバラードがどんな構造を持った世界で、どのような歴史を経てきた社会であるのか」を、完全に解き明かしてはいないと言いました。
 結局、この事を、避けて通る訳にはいかないようです。

 と言うのは、いくら自分で好きに考えようと言ったって、やはりイバラードの基本的な事を踏まえなければ、全く意味が無いからです。
 そもそも、「イバラード物語」が単なるファンタジー物語と言えるかどうかも疑問です。
 更に、自分で「イバラード物語」を基に何か話を作ったとしても、それがイバラードのお話しである、と証明出来る根拠は何処に求めたら良いのでしょう?

 イバラードの人気キャラクターを登場させれば、誰でもイバラードのお話しだとわかりますが、それはちょとイージー。(笑)
 こうして改めて考えてみれば、イバラードという世界は、きっちりと分かり易い世界像として単純に表現することが、とても難しいのではないかと思えます。
 何故ならイバラードには、絵画として、またファンタジー物語として、一言では語り尽くせない様々な要素がモザイク模様の様に複雑に絡み合っているからです。
 そしてある意味で、この様々な要素が複雑怪奇に絡まった姿にこそ、イバラードの魅力が存在しているとも言えます

 このもつれた糸のように絡まる要素と要素の間には、様々な興味深い秘密が隠れている様です。つまり、この複雑に絡まった要素を一つ一つ辛抱強く解きほぐしてゆけば、次第にイバラードの謎を解く鍵もやがて発見出来るのでは無いかと考えるのです。

 そうしたことを、次の序章・その2「絵画の領域に収まらなかったイバラード」で考えてみたいと思います。